美味しくて腹持ちがよくて、アレンジの幅が広い「おいも」の仲間。ヒトの暮らしにおかずとしてもおやつとしても根付いていて、犬たちにとってもドッグフードの原材料やオヤツとしてポピュラーな食材です。

うちの子が好きなお芋さんは、どの種類でしょう?

今回は、身近な4つのイモについて栄養の特徴や活用シーンを掘り下げてみます。

この記事はこんなことが気になる人におすすめ
・イモ類を犬にあげても大丈夫?
・イモの種類によってどんな違いがあるの?
・犬におイモをあげるときの注意点は?
・犬との暮らし、イモ類の活用シーンは?

目次

身近なイモの種類と特徴

スーパーで見かける身近な「イモ」といえば、じゃがいも・さついまいも・里芋・ながいものあたりだと思います。

実はこの4種類は全て異なる「科」の植物です

種は違えど、「イモ類」共通の特徴として、炭水化物(でんぷん質)が主要成分であること、食物繊維が腸内環境をサポートしてくれること、利尿作用のあるカリウムを多く含むこと、などがあります。

一方で、ビタミン類やミネラル類の含有量はイモの種類によって個性があります。また、特徴的な成分を持つイモもあります。

まずはざっくり、それぞれの特徴をみてみましょう。

じゃがいも(ポテト)

ナス科の野菜

じゃがいも特有の土っぽい香りとホクホク感が特徴。ドッグフードの原材料としてもポピュラーな食材。イモ類の中ではタンパク質が高め。

●特徴的な栄養成分
ビタミンCが多く加熱に強い
イモ類の中ではタンパク質が高め

さつまいも(スイートポテト)

ヒルガオ科の野菜

甘みが強く嗜好性が高い。犬たちのオヤツの素材としていろいろなバリエーションがある。βカロチンやミネラル類など、微量栄養素も豊富に含んでいる。ただし、カロリーも高め。

●特徴的な栄養成分
ビタミン類、βカロチン、主要ミネラル類を含む

さといも(里芋)

サトイモ科の野菜

やわらかく、独特のぬめりと優しい甘みがある。4種の中では最もカロリーが低く、ぬめり成分のガラクタンが血糖値やコレステロール値のコントロールに役立つと言われる。

●特徴的な栄養成分
ぬめり成分のガラクタンが、粘膜保護や糖質コントロールに役立つ
カリウムを多く含み利尿作用がある

ながいも(長芋)(やまいも)

ヤマノイモ科の野菜

調理方法によって食感が変化する。イモ類の中では甘み控えめでアッサリした味わい。新陳代謝を活発にし、疲労回復やスタミナUPに役立つと言われている。

●特徴的な栄養成分
でんぷん分解酵素のアミラーゼやジアスターゼを含むため、生食可能
肝機能をサポートするコリン・サポニンを含む

イモ類のカロリーや主要栄養成分を比べてみると?

続いて、エネルギー価(カロリー)と主要成分をチェックしてみましょう。

今回は、犬たちに与える前提での比較ということで、皮をむいて火を通した状態(蒸し、あるいは水煮)の状態での栄養素を比べてみます。

詳しい栄養成分は、文部科学省「食品成分データベース」で確認できます

エネルギー(カロリー)

4つのイモの中でダントツにエネルギー価が高いのは、さつまいもです。意外なのは、じゃがいも。じゃがいもは、さつまいもに比べると半分くらいのカロリーです。

ダイエット中の子にさつまいもをあげるときは、量に注意した方が良いかもしれません。逆に、エネルギー補給や腹持ちの良さを期待したいときには、とても良い食材となりそうです。

●エネルギー
さつまいも>じゃがいも>ながいも>里芋

炭水化物

エネルギー価の高いさつまいもは、炭水化物も多く含んでいます。

どのイモも主要な構成成分は炭水化物(でんぷん)となっていますが、里芋や長芋の炭水化物量はそれほど多くなく、ぬめり成分が糖質の吸収をゆるやかにすると言われています。

●炭水化物
さつまいも>じゃがいも>さといも=ながいも

たんぱく質

イモ類に含まれるタンパク質量は僅かです。低いレベルで比べるので、どのイモをとってもそれほど差はありませんが、じゃがいもとながいもは、ややタンパク質を多く含んでおり、さつまいもの含有量は少なめです。

●たんぱく質
じゃがいも=ながいも>さといも>さつまいも

イモ類の主要ミネラルを比べてみると?

次に、イモ類に含まれる主要なミネラル成分を比較してみます。

カルシウム(Ca)

カルシウムはさつまいもに多く含まれ、じゃがいもにはほとんど含まれないという特徴があります。

カルシウムは、骨や神経・筋肉に欠かせない成分で、手作り食では不足しがちなミネラルです。一方で、シュウ酸カルシウム尿結石症などのトラブルがある子は、さつまいも・さといも・ながいものあげ過ぎには注意が必要です。

●カルシウム
さつまいも>さといも=ながいも>じゃがいも

ナトリウム(Na)

ナトリウムもさつまいもに多く含まれ、他のイモの含有量は少ないミネラルです。

ナトリウムは、体内の水分量を調節したり、筋肉や心筋の収縮のコントロールしたりするのに重要な役割をもつ栄養素です。塩分控えめ=体に良い、というイメージが先行しがちですが、適量をバランスよく摂ることが大事です。

●ナトリウム
さつまいも>ながいも>じゃがいも=さといも

カリウム(K)

カリウムは、どのイモにも多く含まれますが、特にさといもに多く含まれています。

カリウムもナトリウム同様に体内の浸透圧を調整する働きがあります。体内のナトリウム量をコントロールする役割があり、摂り過ぎた塩分を排出してくれます。オシッコをしっかり出す利尿作用がありますので、デトックスにも役立ちます。

●カリウム
さといも>さつまいも>じゃがいも=ながいも

マグネシウム(Mg)・リン(P)

マグネシウムとリンは、特に腎臓系のトラブルを抱えている子には気になるミネラルかもしれません。イモ類の中で、どちらも低いレベルなのは、ながいもです。

さといもはマグネシウムの含有量は少なめですが、リンは多く含んでいます。

●マグネシウム
さつまいも=じゃがいも>さといも=ながいも
●リン
さつまいも=さといも>じゃがいも>ながいも

イモ類のビタミン類を比べてみると?

さいごに、イモ類のβ-カロテンとビタミンCの含有量を比べてみます。

β-カロテン

β-カロテンはさつまいもに多く含まれ、ほかのイモ類にはほとんど含まれていません。

β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康をサポートする役割を持っています。イモ類と同じ根菜の仲間では、かぼちゃやにんじんに多く含まれています。

●β-カロテン
さつまいも>じゃがいも=さといも

ビタミンC

ビタミンCも、4種のイモ類の中ではさつまいもにダントツで多く含まれています。

含有量はさつまいもには及びませんが、じゃがいもも「畑のリンゴ」と呼ばれることもあり、ビタミンCが多いイモとして知られています。イモ類のビタミンCは、でんぷん質に守られているため、調理しても流出しにくいのが特徴です。

●ビタミンC
さつまいも>じゃがいも>さといも=ながいも

まとめ

身近な4つの「イモ」について、いくつかの栄養成分をピックアップして比べてみました。

「イモ類」として似ている特徴もあれば、イモによってかなり異なる成分もあります。

中でも「さつまいも」は、エネルギー・ビタミン・ミネラルとも含有量が高く、他のイモたちとは一線を画すなかなかパワフルな存在です。一方で、里芋や長芋は、同じイモでもそれほどカロリーが高くなく、デトックスや血糖値のコントロールに役立つヌメヌメ成分を含んでいます。

じゃがいもは、イモの中で比べると特別に突出した部分がなく、ナトリウムをほとんど含まないため、かえってバランスを気にせず使いやすい食材かもしれません。

◆イモ類全体の特徴
炭水化物(でんぷん質)が主要成分である
食物繊維が腸内環境をサポートしてくれる
食感や味を好む犬が多い

◆イモ4種を比較した時の違い
サツマイモは、カロリー・ビタミン・ミネラルなど全般に栄養価が高い
里芋と長芋は、低カロリーでぬめり成分が消化促進や粘膜保護、糖質のコントロールに役立つ
じゃがいもは、タンパク質とビタミンCが高めで、ナトリウムをほとんど含まない

うちの子の好みや健康状態で、カロリーを摂りたい子も抑えたい子もいると思います。また、特定のミネラルを制限している子もいるかもしれません。

マニアックな内容ですが、ごはんのトッピングやおやつとして、イモ類を選ぶときの参考になれば嬉しいです。

ポテチもスイートポテトも大好き

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