犬のごはん 身近な食材ヨーグルトの栄養特性とおすすめの活用シーン

お腹の調子を整えたい時や小腹が減った時に手軽にとることがきる「ヨーグルト」。冷蔵庫に常備している!という人も多いかもしれません。私たちの暮らしに身近なヨーグルトは、犬との暮らしにも活用できる食材です。

今回はヨーグルトの栄養特徴や機能性、牛乳よりヨーグルトが安心な理由、犬との暮らしでヨーグルトを活用できるシーンなどを掘り下げてみます。

この記事はこんなことが気になる人におすすめ
・ヨーグルトを犬にあげるとどんなメリットがあるの?
・ヨーグルトの栄養価や機能性は?
・犬にヨーグルトをあげるときの注意点は?
・牛乳はNGなのにヨーグルトはOK?
・ヨーグルトの活用シーンは?

目次

ヨーグルトの栄養成分と機能性

日本で市販されている一般的なヨーグルトは「牛乳」を発酵させて作った製品です。牛乳の栄養成分をしっかり引き継いでいるのが特徴で、良質なタンパク質、脂質、炭水化物とビタミンB1、B2、吸収の良いカルシウムが豊富に含まれています。

また、発酵に必要な乳酸菌がもつ独自の働きを期待できるのもメリットです。ヨーグルトを作る乳酸菌の「菌株」は数千種(あるいはもっと多く)あると言われており、乳酸菌の種類によって仕上がりのテクスチャーや風味が変わります。

さらに、さまざまな研究が進んだ結果、それぞれの菌が特徴的な機能性を持っていることが分かってきました。

例えば、内臓脂肪を減らすサポートとなる菌、免疫を活性化すると考えられている菌、プリン体の分解を働きかける菌、他の悪玉菌や歯周病菌の増殖を防ぐ菌などです。

これらの研究はヒトの分野で研究が進んでいることがほとんどですので、犬たちにも同じ機能性が期待できるかどうかは明らかになっていない面もあります。しかし、乳酸菌について総じて言えることは、どの菌であっても腸内環境を整える効果を持っており、さらに独自の機能性についても犬たちに応用できる可能性があるということです。

ヨーグルトのパッケージには、R-〇や、BB〇〇、〇〇菌〇〇株など、菌の種類を記載してあるものも多いです。菌の種類とそれぞれが持つ機能性を気にして選んでみるのも楽しいですね!

また、ヨーグルトの大事な成分として「水分」があります。一般的なヨーグルトの場合85%前後は水分ですので、ヨーグルトで水分補給をサポートできる場面もあります。

薬膳の観点では、りんごと同じく甘みと酸味の両方を持つと言われる食材で、体液を潤し体質を改善する働きがあると考えられています。

ヨーグルトの栄養特性

・吸収の良いタンパク質
・脂質
・炭水化物
・水!
・吸収の良いカルシウム
・ビタミンA、ビタミンB₂
・「酸甘化陰(さんかんかいん)」の性質を持ち、体液を潤し体調を整える

詳しい栄養成分は、文部科学省「食品成分データベース」で確認できます

牛乳がNGなのにヨーグルトはOKな理由

「犬に牛乳を与えるのはNG」と聞いたことがある人も多いのではないかと思います。

牛乳に含まれる「乳糖」の消化が苦手な子がいることは事実です。このタイプの子は牛乳を飲むとお腹が緩くなってしまいます。これは犬に限らずヒトにも共通の問題で「乳糖不耐症」と呼ばれる体質の症状です。

子犬の時は牛乳を飲んでも大丈夫だったのに、大人になってあげてみたら下痢をしてしまった、というケースもあります。

子犬は乳糖を分解する酵素の活性が高いのです

ライフステージ別にみると、子犬の頃は乳糖を分解するラクターゼという酵素が活発に働いてくれるものの、成犬になるとこの酵素が減少し、乳糖に対応しにくくなってくると言われます。このようなことから、成犬やシニア犬に牛乳を与えるときは、その子の体質を慎重に観察する必要があります。

このように、必ずしも牛乳=全ての犬にNGというわけではないのですが、牛乳には、ついキンキンに冷えたものをあげてしまったり、犬が好きすぎてガブ飲みしてしまったり、あるいは本当に乳糖不耐症のトラブルがあったり、というお腹トラブルにつながりやすいリスクがあるため、おしなべて「犬に牛乳はNG」という認識が広がっているのだと思います。

ちなみに、市販されている「ペットの牛乳」や「犬用粉ミルク」は、あらかじめ乳糖を分解してあったり、不耐症のリスクが少ないヤギミルクを使用したりして、下痢になりにくい仕様になっています

一方のヨーグルトはというと、乳酸菌が乳糖を分解しているので「乳糖不耐症」によるお腹トラブルのリスクが少なくなっています。

さらに、乳酸発酵によりタンパク質の一部が消化吸収しやすいペプチドまで分解されていること、豊富なカルシウムも乳酸と結びついて乳酸カルシウムとなり吸収されやすくなっていることなど、貴重な栄養を活用しやすくなっています。

牛乳を発酵させる過程でこのような栄養変性が起きていることから、ヨーグルトは「犬に与えてOK」な食材とされるのです。

牛 乳
ヨーグルト
  • 乳糖がそのまま
  • 乳糖は下痢や軟便の原因となるリスクがある
  • 特に成犬やシニア犬に与える際は注意が必要
  • 乳糖が分解されている
  • タンパク質やカルシウムも乳酸発酵で吸収しやすい状態になっている
  • すべてのライフステージで活用できる

ヨーグルトをあげるときに注意したいこと

市販にはたくさんの種類のヨーグルトがあります。

犬と一緒に食べたい時は無糖のもの(プレーンヨーグルト)を選びましょう。

脂肪の有無については、お好みで大丈夫。ダイエット中の子や脂質代謝にトラブルがある子でしたら無脂肪のものを選ぶ方が安心かもしれません。特に制限のない子であれば、脂質も含めてヨーグルト全体の栄養を活用するのもおすすめです。

また、ヨーグルトは薬膳の観点では、体を温めることも冷やすこともない平性の食物とされています。しかし、当然のことながらキンキンに冷えたものは物理的に体を冷やしてしまいます。

冷えたものをあげるときはごく少量にして、本格的にごはんのトッピングに使う時などは、常温か少し温いものをあげると安心です。(とはいえ、常温で長時間放置されたものはNGです)

・無糖(プレーン)を選ぶ
・無脂肪を選ぶかどうかは、その子のライフステージや体調に合わせてお好みで決める
・冷えたヨーグルトを与えるときは少量に

犬との暮らし ヨーグルトの活用シーン

ヨーグルトをはじめとする乳製品のタンパク質は、お肉や魚のようにメインのタンパク質源にはなりませんが、ちょい足しのトッピングとしては活躍のシーンが多い食材です。

上述の通り、まずは水分も含め、タンパク質・脂質・炭水化物の主要栄養素の補給になります。また子犬からシニア犬まですべてのライフステージで重要なカルシウムを吸収しやすい形でとることができる点もポイントです。

ですので、まずは水分&栄養補給として活用するシーンがあります。

さらに乳酸菌の働きにより腸内環境を整える働きを期待できますので、お腹の調子が安定しない子やウンチが硬すぎたり緩すぎたりする子にもおすすめです。

また、朝起きた時に胃液や胆汁を吐き戻してしまうタイプの子は、寝る前にヨーグルトを与えると落ち着く場合があります。

そのほか、ヒトの分野で研究が進んでいるようなヨーグルトの菌株が持つ機能性が犬たちにも当てはまる可能性も大いにあると思います。免疫力のUP、アレルギー症状の緩和などに加え、薬膳の観点では、口が渇き・皮膚の乾燥・乾燥による痒みや発疹なども緩和すると考えられています。

ヨーグルトはこんな子におすすめ

・水分補給
・栄養(タンパク質・カルシウム)補給
・お腹の調子を整えたいとき
・朝、胃液を吐いてしまう子の嘔吐対策
・アレルギー性の皮膚症状に悩んでいる子
・皮膚が乾燥しがちな子
・痒みが出やすい子

ヨーグルトは、独特の酸味やとろみがあります。この味わいが好きな子も多いですが、最初は酸っぱいものが苦手な子もいるかもしれません。そのような場合は「人間目線でのヨーグルト」の概念をいったん忘れて、その子の好きな「茹でささみ」や、甘みのあるサツマイモなどと合わせてあげるのもおすすめです。お湯で少し薄めてあげればキンキンの冷え問題も解決しますね!

「さつまいもとヨーグルトのぬるま湯おやつ」。人間目線だとあまり美味しそうじゃないですが、犬にとっては体に優しい素敵なおやつになります!

人間目線の「ヨーグルト」概念をいったん忘れて、犬用アレンジを考えてみるとGOOD!
例)ぬるま湯で薄めて温度調整、ささみなどお肉と合わせる、好きな温野菜と合わせる

まとめ

身近な食材ヨーグルトは、人にも犬にも嬉しい機能性がたくさん。ドライフードにトッピングするだけでも普段の食事をちょっとアップデートできる食材です。

リスクが少ない手軽な食材でもありますので、お腹トラブル、皮膚の乾燥や痒み、朝の吐き戻しなどのお悩みがある場合は、ひとまず試して様子を見てみるのもよいと思います。

犬用にお肉や温野菜と組み合わせるのも良し、ブルーベリーやすりおろしリンゴなどと合わせて人と犬でシェアするのも良し、いろいろな種類やいろいろな菌株がありますので、お気に入りを探すのも楽しいですね。

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